収蔵日記紹介 007 1960年代男性

収蔵日記紹介 007 1960年代男性

執筆時期 1964~65年

執筆者属性 20歳男性(論文として執筆)

論文「明治青年と現代の青年 現代我らいかに生くべきか」というタイトルが付されている。学校に提出された論文であるらしい。明治維新や韓国の朴正熙政権による上からの社会改革に対し批判をむけ、一方で中国の知識人弾圧にも疑義を呈している。

当時の政治的文脈への解像度が高くないと、文意が読み解けない箇所が少なくない。

後半では当時の書籍や社会党議員の発言を引用しながら、北朝鮮を理想郷として紹介している。北朝鮮では朝六時から市民が一斉に街に出て、道や街路樹、花壇の手入れをしていたそうだ。

書き手はこうした自発的な行動を促すからこそ、北朝鮮には「公徳心がある」と評している。

全編手書きでありながらほとんど書き損じがないこと、校正記号がところどころ使われていることから、往時の手書き文化が伺える。

無地の表紙。厚さは1㎝未満
巻頭言。この時代の人は「青年」「青春」という言葉を好んで使うイメージ
「桃源郷の建設」というワードに若者的な理想を感じる。世界全体が新国家建設や植民地からの独立、イデオロギー対立などで流動的だったことも若者を政治に駆り立てたのかもしれない。

北朝鮮が公徳心のある社会として描かれている。
「自分は貧農だと自覚する農家は貧農じゃない」。論文は途中で終わり、後半からエッセイになっている。

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