開館のご挨拶

当館ウェブサイトにお越しくださり、ありがとうございます。
令和3年11月1日をもちまして日記博物館の設立日とさせていただくことにいたしました。
まだ、博物館自体の設備はなく、日記の買取を中心に活動する予定です。

この社会に生きるどんな人も、一冊の本になるくらい濃厚な人生を送っています。

誕生から成長、進学、就職、結婚、病気、知人の死など、様々な場面で、人は喜び、悩み、苦しみといった気持ちを抱えながら100年近い人生を送ります。
その過程では、大震災や疫病などの大災害に見舞われたり、バブルなどの好景気に浮かれたりといった社会的な出来事に巻き込まれることもあるでしょう。

太平洋戦争に出征した私の祖父は、日記に
「夜4隻あった輸送船が、朝には3隻になっていた。あの船に乗っていたかどうかという偶然で生死が分かれた」
と書き残していました。
戦争中の輸送船の沈没自体は、大事件でないかもしれませんが、その場にいた人の視点を知ると、出来事の受け止め方は大きく変わります。

歴史的な出来事に限らず、その人が見たもの、聞いたことは、社会の公的な記録とは異なった、重要な意味があるはずだと思いそれを保存するための博物館として、当館を設立しました。

日記は個人にまつわるさまざまな出来事をその人の目から記録した、一つの文学として捉え、幅広い収蔵をしていくことが目標です。
日本には世界的に見ても珍しく、古くから日記を書く文化が続いてきました。

個人の歴史の集積をしていくことで、後の人たちが「過去の人たちの人生」や「社会的出来事への過去の人の受け止め方」を知る施設にしていけたらと思います。
運営については、これから模索をしていきますが、みなさまの応援を賜れましたら幸いです。

館長 金子祐輔

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